何とも熱いシェフだ。サッカー選手から小学校教員、31歳で料理の世界へ転身という異色の経歴を持つ鳥羽周作氏。都内のイタリア料理店からスタートし、「フロリレージュ」には押しかけ修業。2016年3月、ワイン・バーから業態変更した現在の店にシェフとして抜擢された。ディナーコースは7000円。安くて美味しい料理を作ることで食材の提供者、客の期待に応えたいと、日々、模索を続ける。マッチョな体型だが、料理は繊細、華麗系。ジャンルを越え、有能なシェフとコラボしながら貪欲に技術を吸収し、自分のものにする。メニューは2ケ月で変えるが、今日より明日が良くなるよう「吐くほど試食を繰り返す」と言う。「ビーツと蛸」と記された一皿はビーツの赤を散りばめ、見た目は妖艶だが、目指す味はたこ焼きだとお茶目に笑う。料理について語り始めると止まらない。この思いを受け止めるのがマネージャー、ソムリエの外山博之氏。ノンアルコールのペアリングにも工夫を凝らし、柑橘やベリーに昆布など独自のブレンドで料理にマッチさせる。カジュアルな作りの店で、価格を抑えながらガストロノミーを追求するシェフやスタッフの熱意が好ましい。
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