国内外からの観光客で賑わう港町・小樽。その賑わいの中心から少し離れた静かな場所に店はある。店内はボックス席の他にそれぞれ仕切られた各6 名程度のカウンターが2 つあり、店主ともう一人の職人が技を競い合う。それぞれファンが違うようだ。道産の酒に合わせ、これでもかと言わんばかりに多数の肴がタイミング良く供される。どの一品も飽きさせない工夫でバラエティに富んでいる。煮る・焼くの火入れも見事で、客の顔にも笑みが浮かぶ。握りは北海道素材を最大限に引き出すため、酢飯は米酢を使用。地元出身の店主は素材を知り尽くしており、手仕事を表立たせるのではなく、種の土台として技を加える。それは口に入れた瞬間、その香りと個性がダイレクトに広がり、旨みが後を追い、酢飯の酸味と混ざり合うと至福のひと時となるのだ。これぞ、北海道ならではの「鮨」である。上品さを保ちながら肩肘張らずに過ごせる雰囲気は店主の人柄がそうさせるのであろう。観光地でありながら隣街・札幌からの常連客が多いのも頷ける。
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