開店以来7 年、高評価を受け続ける「アルシミスト」が改装によってイメージを変えた。まずは店名が複数形になった。マダムとスタッフを加え、味の錬金術師はシェフだけではなくなったのだ。新たに設けた半個室とカウンター席もゲストの様々な要望に応えられる。しかし、一番変わったのは料理だろう。粉末にしたフォアグラなど斬新なコンセプトと凝縮感のあるストイックな盛り付けで定評があったが、今は緩やかな開放へ向かっている。山本シェフはフランスで8 年間、リヨン・アルザス・バスク・ブルターニュと、テロワール豊かな地方のレストランで身に付けたものをパリの「ル・シャトーブリアン」でまとめ、帰国。その経験は日本食材を使った皿の随所に活かされている。修業地、ブルターニュ産のオマールブルーに沖縄のゴーヤ。五島列島放血神経〆熟成クエはバスクのピルピル風に。ワインはマダムのセレクションで自然派を中心に優しく寄り添うマリアージュだ。パステルカラーの美食レストランから踏み出した第二章。錬金術師たちが次に求めるのはスケール感か。いつまでも美味しいプチ・レストランでとどまってはいないだろう。
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