店主が目指すは「1 日1 組、究極のおもてなしの店」。すでにその心意気は店の隅々にまで行き渡っており、心から寛いで料理を楽しめる。食材の良さを最大限に引き出したシンプルな料理は、盛り付けも余計なものを削ぎ落とし、洗練されている。たとえば鰻はふっくらと蒸しあげ、さっと炙り、程良い塩加減でいただく。付け合わせは出汁をたっぷりと含ませた冬瓜のみ。シーズンには、松茸のコロッケ。じゃがいもの中で火入れされた松茸が良い塩梅に口の中で香り出し、熱々を頬張りながら思わず笑みがこぼれる。名物は鯛茶漬け。土鍋で炊いた白米とともに、まずは刺身で胡麻だれと山葵で鯛をいただく。2 杯目はお茶漬けでさらさらと。毎朝市場で締めてもらう鯛は、歯応えと旨みが際立ち、温度を変えて違いを楽しめる。全ての料理が計算し尽くされた高級料理であるのに、まるで友人の家でもてなしを受けているような錯覚さえ覚える。昔からの客を大切にしているため予約は難しい。移転前から25 年間、毎月通う客がいるというのも頷ける、人を惹きつけてやまない名店である。
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