広島県山県郡の「北広島町」というテロワールを発信するためのコンセプト料亭。オーナーは芸北アマゴ、広島レモンサーモンなどのブランド渓流魚の養殖を手掛ける片桐義洋氏。料理は広島市繁華街の割烹で修業し、北広島町に帰郷した岡本大輔氏が腕を振るう。公共交通機関のない山中にあるため、遠来の客は芸北オークガーデンに宿を取れば店が送迎対応してくれる。100年以上前の地元豪商の庭園屋敷を改装した店は、桜の名所としても知られ、春は見事な桜と共に地産の天然山菜を堪能できる。メインの魚はもちろん芸北アマゴや広島レモンサーモン。小骨があたらないように工夫したアマゴの姿造りや、塩焼きは卓上で籾殻で燻すなど、ひと手間かけた調理が見事である。肉料理では、山中で放牧する三浦牧場の和牛や、猪などジビエが主役を張る。秋には紅葉と天然きのこが楽しみだ。北広島町産の野菜や米も味が濃く、飲み水や調理には地元の最高峰でブナの原生林が拡がる臥龍山の伏流水が使われ、合わせる酒も北広島町産の水と米で作られた生どぶろく八幡や老亀の純米吟醸など、全て土地繋がりの自然な調和感は大きな感動体験だ。正に「北広島町」を丸ごと胃袋に収めるような見事なテロワールの凝縮である。連泊して特別名勝の三段峡など、観光と組み合わせて楽しめば最高だろう。遠くからでも訪れるべき名店だ。
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