銀座のビルの一角、ただ、鮨を食べるためだけにあるようなこじんまりとした空間で唯一無二の江戸前鮨を追求する。店主、吉武正博氏は、種・酢飯・山葵が一体となる鮨を目指し、伝統を守りながら更なる美味しさの追求に余念がない。築地魚河岸だけでなく、食材は全国各地の生産者から直接仕入れも行い、最高の素材に合わせて「締める」「蒸す・煮る」「漬ける」「寝かす」、様々な技法を探る。酢飯は味を引き締める為、一度目の研ぎと炊き上げに鹿児島の温泉水を使い、羽釜で1日に3回、鮨を出すタイミングに合わせて炊き上げる。最高の状態の種と丁寧に炊き上げた酢飯が融合した一品はどれも自然と口の中でとろける。看板メニューである煮鮑の肝ソースは、まず、やわらかい煮鮑を肝ソースにつけて、後は肝ソースに酢飯を入れて二度楽しむ。握りも穴子を笹焼きにして香り高くふんわりとした食感を楽しませる。魚の骨醤油やニンニクの香りを移した醤油、薫香をしのばせた白身魚のタタキなど「香り」を自然に取り込み、通の客を唸らせる。その一方で、実父の「日本文化を大切にできることを」という言葉が鮨職人になるきっかけと言うように、「鮨」という日本の食文化の伝道師となるべく、2012年、香港にも支店を出し、世界中の人を魅了している。その人柄と技に惹かれ訪れる人の絶えない鮨の名店である。
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